本日の1本 ペルシャ猫を誰も知らない
- 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
- 発売日: 2011/04/28
- メディア: DVD
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イラン映画といえばこの人(しか知りませんが)、バフマン・ゴバディ監督の作品。
当局の目を逃れながら無許可でゲリラ的に撮影したそうで、確かにピリピリしたスリリングさは「本物」の味わいであります。
夢見る若者カップルの力強さや挫折を描いた青春映画作品ではあるが、根底には体制批判が流れ、しかし全編に渡りユーモアに満ちている。甘酸っぱいけど、それだけじゃないということで。
また、何より心打たれるのは、実際にイランで繰り広げているのアンダーグラウンドなミュージック・シーンの音楽であります。
インディ・ポップ、ヘヴィ・ロック、フォーク・ロック、そしてヒップホップまで。
イランの土着的感性と自由を制限されたお国事情から、そこはやはりモンドというか、独自性の高さが面白くてかつカッコいいのだ。
特に主人公2人のバンドのサウンドなんて、フュージョン・テイストにサイケ臭を漂わせていて、「タンゴ・ファンゴ」の頃のグルグルみたいだな、とか思いました。
クールに激情を畳みかけるヒップホップの人のライムとか本気でカッコ良いし。この映画、サントラあったら欲しいなぁ。
栄光への疾走と期待の高まりをユーモラスに描いて進みながら迎える衝撃のラストは、あまりの呆気なさも含めて、バフマン・ゴバディらしい凄みを感じました。しばし余韻が残ります。