本日読んだ2冊

 「鳥類学者のファンタジア」

鳥類学者のファンタジア

鳥類学者のファンタジア

 時空を超えて第2次大戦期のドイツへと転移するジャズ・ピアニスト。彼女が辿り着いたのは、孤高のピアニストであった祖母の苦しみと、そして完全で永遠の音楽を奏でる宇宙オルガンが律する異世界
 壮大な世界観を背景に展開していくSFドラマはなかなかに素敵であるが、それ以上に好いのは軽妙なユーモアを連発する文体。形而上学的なモチーフがすぐに洒落でひっくり返される。
 どんな状況でも飄々とかわす主人公はジャズ的で、そして文章もとてもスウィンギンなのだ。音楽ファンであればリズムを楽しめる小説であります。
 
 「大津波原発
大津波と原発

大津波と原発

 内田樹中沢新一平川克美による鼎談。例えば中沢新一原発を「一神教」的だと語るなど、3人とも非常にユニークな視点をポンポンと提示してくる。
 その視点と語り口が面白いなぁ。それにつられてつい膝打って共感してしまうが、なんか騙されてる感がつきまとうのもまた面白い。そのあたりが内田樹中沢新一の魅力ですね。
 最後に内田氏が「霊的な力に対する畏怖の念の欠如」と締めるのも、氏のファンにとっては御愛嬌であります。