本日の1枚 由紀さおり

 由紀さおり & ピンク・マルティーニ / 1969 (CD)

1969

1969

 
 由紀さおりとジャズ楽団のピンク・マルティーニによる、1969年をテーマにしたアルバム。どうも他国でも本当に売れているらしいということで、ちょっと気になっていました。
 で、聴いてみたらこれが意外にいける。ジャズ楽団で1969年モノということで、昭和な懐かしジャズ歌謡サウンドを想像していたのですが、確かにそんな側面もあるものの、それを消化した2010年代の音であるという印象を受けました。
 例えば冒頭の『ブルー・ライト・ヨコハマ』。ラテン歌謡な曲調ですが、アレンジはどこかクールで、原曲の雰囲気と相俟ってモンドなイージーさを醸し出しています。
 
 気になるのはやはりブラジルな2曲。
 まずは筒美京平作品の『真夜中のボサ・ノバ』。これはまぁ原曲(ヒデとロザンナ)も甘く軽やかなボッサ歌謡なんですけど、さらに、たおやかに。『Reza』みたいなフレーズの「ラヤラダヤー」なスキャットも素晴らしい。
 そして、『マシュ・ケ・ナダ』。これはもうセルメン&'66版な雰囲気で、ソフト・ロッキンなアレンジがとても心地良い。ちょっと甘さ控えめなのも好いし、何より素敵なのは歌詞が日本語で違和感がないのだ。
 
 お気に入りは、『イズ・ザット・オール・ゼア・イズ?』。例えばペギー・リー版と比べてみても、ポエトリー・リーディングな趣が強い。しかも日本語だし。
 力強さとコケティッシュさを備えた艶っぽい歌声(というか語り)から、小西康陽と組んだ夏木マリがなんとなく頭に浮かんだりした。
 
 
 ブルー・ライト・ヨコハマ