本日読んだ2冊

 「死体に目が眩んで」

 死体写真家である著者が、死体をカメラに収めるまでを綴ったノンフィクション。
 タイ、コロンビア、ロシア、メキシコで、現地のジャーナリストなどとともに、死体を求めて殺人・事故現場に駆けつける。
 クールな視点で書かれる残酷描写と現地人の死体への感性は、我が邦の常識に疑念を抱かせるものであり、それを実感させる文体はなかなかに絶妙であります。
 
 「はぐれ猿は熱帯雨林の夢を見るか」
はぐれ猿は熱帯雨林の夢を見るか

はぐれ猿は熱帯雨林の夢を見るか

 レアメタルに伝染病、ロボットなど科学なネタの4編を収録。
 SF的であるが、時事ネタから想定外の文明批判にもっていく。といっても割りと軽いタッチで、ユーモラスに現代人の悲哀を描くため、ゾゾッとするようでほのぼのとした読後感もあり。
 何気に家族やムラ社会の本質を問う「エデン」が秀逸。