本日の1枚 New Musik

 New Musik / From A To B (CD)

フロム・A・トゥー・B

フロム・A・トゥー・B

 
 自分にとってポップ・ミュージックとはどんな音楽か。その問いが頭に浮かんだとき、まず脳内に流れてきたのはこのアルバムでした。
 80年代のシンセ・ポップ全盛期に、A-HA などのプロデューサーとして名を馳せたトニー・マンスフィールド。彼が結成していたグループがこのニュー・ミュージックで、この盤は1980年にリリースされたファースト・アルバムです。
 当然まぁシンセやリズムボックスを多用し、後のトニマン作品の片鱗を垣間見せてはいるものの、あくまでも英国ロック、ポップの流れを汲んでいます。
 例えば『Sanctuary』なんて、ビートルズ以降の英国ポップ直系なメロディ・ラインを聴かせます。しかし、甘い歌声に加えて、なんだかバカっぽくノリノリなコーラスが響いてくるとこが好いなぁ。
 
 よく謂われるようなエレ・ポップの元祖的な面も確かにあるんだけど、珍妙に気を利かせた曲構成のセンスが素晴らしいものばかり。
 アルバム冒頭の『Straight Lines』は、チャイムがピンポンと鳴る音からスタート。そこから甘いギターの旋律が続き、躍動感のあるリズムが添えられていく。この分かりやすいポップさと捻りすぎずに捻ったアレンジが好いのです。
 激甘なメロディにラジオノイズがじんわりと響く『Map Of You』は、エレクトロ・シューゲイザーな趣もあるし、『Dead Fish』はタイトルどおりに深海系エレクトロニカな趣もある。
 ピヨピヨしたシンセが煌めく『Science』は、ヴォーカルのへなちょこ感も素敵だし、フツーに歌謡ポップしてるようで随所にグニャリ感が挟まれる『Adventures』も素敵だ。
 
 アルバムの目玉は、なんといっても名曲『This World Of Water』でしょう。
 ちょいと2トーン風のリズムが軽快に跳ねる中を、フニャフニャしたシンセが心地良く響きます。そして、歌声はヴォコーダー越しだ!
 
 僕が持ってるのは2001年に再発されたCDなんですが、ボートラが7曲も入ってました。
 タイトルどおりにシック(ナイル・ロジャースの)みたいなディスコ・ソングの『Chik Musik』とか、ダンス・ミュージックな楽曲も聴けてお得であります。
 
 
 This World Of Water
 
 
 Chik Musik