本日の1枚 Larry Conklin & Jochen Blum

 Larry Conklin & Jochen Blum / Jackdaw (CD)

JACKDAW

JACKDAW

 
 シアトルの男性デュオが1980年にインディーズからリリースしたアルバム。
 2人がギターとヴァイオリンを奏でながら歌う、ちょいとアシッド寄りなSSWなんですけど、米国ものとは思えないモノクロな色彩の陰影が印象的。
 なんだか、どよーんとしてるんです。
 冒頭の『Paris』なんか、ギターの紡ぎは美しいんだけど、その煌めきに霞がかかっているような感じで。
 そして歌声。声質は枯れてないんだけど、伝わってくる空気感が枯れています。優しいんだけど、諦念がにじみ出てきます。
 ジェントルな歌声は時に重苦しくもあります。例えば『Alathea』なんて、深く沈み込むようなアシッド感も含め、なぜだかジョイ・ディヴィジョンみたいな雰囲気も感じました。
 
 そんな歌声も好いのですが、実はインスト曲のほうがお気に入りでした。
 ギターが奏でる薄くぼんやりとした幽玄な美しさとヴァイオリンのメランコリックなドリーミー感は、むしろヴォーカルがないほうがより際立ちます。
 特に『The Diamond Cutter』は、心地良くイージーでありながら不意に緊張感が走る、リズムの緩急が素晴らしく好いのでした。