本日の1枚 4 Hero

 4 Hero / Two Pages (CD)

Two Pages

Two Pages

 
 ドラムンベースの在り方を変えたユニット。1998年の作品ですが、今聴いても色褪せない魅力に満ちています。
 (当時の日本盤は)CD2枚組で、1枚目は生楽器を大胆にフィーチャーし、2枚目は逆に無機質なエレクトロ・サウンドと、かなり趣向の違う楽曲を色分けして収録しています。
 しかしやはり、このユニットの魅力は1枚目でしょう。ウッドベースやストリングス隊を配し、とても重厚なサウンドを聴かせます。暖かみと同時に哀しみも感じる人間味に溢れる音は、ドラムンベース、というよりもクラブ・ミュージックの壁を1つ超えた感がありました。
 
 とりあえず冒頭の『Loveless』。詩人のアースラ・ラッカーによるポエトリー・リーディングが、その重厚な音をさらに重く沈ませ、そして浮き上がらせます。
 続く『Golden Age Of Life』では、ストリングス隊がリードする流麗な音も好いのですが、ダンス・クラシック的な味わいの女性ヴォーカルがまた素敵です。
 同様のタイプでは、歯切れのいいリズムで躍動感も目ざましい『Escape That』も好い。重たいのにアッパーで。
 哀愁たっぷりの男性ヴォーカルをフィーチャーした『Cosmic Three』、ラガマフィンなヴォーカルを配した『The Action』も面白い。
 そしてなんと『Holograms』では、ブラジルのフュージョン・グループ、アジムスをフィーチャー。らしいメロウなサウンドは、想定内の音だけど想定外の輝きを放っています。
 いきなりリズムを排してフォーキーな『Wishful Thinking』を挟んだりするのもまた素晴らしい。
 今も昔もお気に入りは『Star Chaser』。女性ヴォーカルもので『Escape That』とかと同タイプですが、駆け抜ける疾走感が素敵なのです。
 
 無機質な2枚目のほうは、なんというか「ジャングル」なリズム。ドンドコドンドコと。
 しかし、スペイシーな電子音が響き渡る『Humans』はストレンジ・ミュージックな趣があるし、ラジオノイズが鳴り響く『Greys』なんかはジャーマン・ロック的な味わいもあります。
 アヴァンギャルドさを強く押し出した楽曲群は、1枚目とまるで世界観が異なりますが、しかし、宇宙への志向という括りでは共通化できるかもしれません。
 
 
 Star Chaser