本日の1枚 石橋英子

 石橋英子 / imitation of life (CD)

Imitation of life

Imitation of life

 
 自身のバンド、“もう死んだ人たち”と共に制作したアルバム。プロデュースはバンドのメンバーでもある、ジム・オルークが担当しています。
 美しいが重苦しく、繊細だが攻撃的な躍動感もあり、そしてメロディが素晴らしくポップであります。何か新しい試みがあるわけでもないのに、聴いた覚えがないようなポップさであります。
 
 まず冒頭の『introduction』は、「もう死んだ人たち放送局」からのアナウンスという形でスタート。ジャズ・ロックなテイストの重いポップさと、うねりまくるミニマル感に圧倒されます。しかし、無垢な歌声はキュートでもあります。
 続く『resurrection』はフォーキーに始まりますが、いきなり鳴り響くスティール・パン。しかし、楽器の音色に関わらず南国な雰囲気が皆無だ。どちらかと言うとトラッド・テイストだ。
 『long scan of the test tube sea』はぼんやりエレクトロニカ的に始まりますが、叙情的な波とリズムが不意に押し寄せる。このドドーンとした感がすげえなぁ。
 
 『silent running』はボッサに始めるけど、柔らかなメロウさに包まれたかと思えばブルージーなギターが響き続けていたり。そして、リズムはあくまでも攻撃的で。
 『fugitive』は、気まぐれに情念渦巻く世界観が素晴らしい。しかも、歌声はとびきりキュートだし。
 ラストの『imitation of life』は、美しく狂気に満ちた逸品。躍動感あふれるリズムに反し、聴いていても身体は揺れず、むしろグッと押さえつけられるような気分。ちなみにサックスは坂田明であります。
 
 
 imitation of life