本日の1枚 高橋幸宏

 高橋幸宏 / A Day In The Next Life (LP)

A Day in The Next Life【SHM-CD】

A Day in The Next Life【SHM-CD】

 
 1991年にリリースされたソロ・アルバム。ジャケの素敵なアートワークは信藤三雄であります。
 初めて聴いたときは、それまでのソリッドさがいきなり絶たれたような印象を受けました。とても穏やかな音。
 しかし、音は穏やかでも物凄く陰鬱な雰囲気に覆われていて、聴いているとなんだか重苦しい気分になってくる。これは、発売後20年経った今でも同じ感想を持ってしまいます、やっぱり。
 そんな重さの中、幸宏らしいロマンティックさも充満しており、痛々しく切ない愛を感じるアルバムなのです。
 
 とりあえず冒頭の『Only Love Can Break Your Heart』。ニール・ヤングのカヴァーですけど、爽やかアコースティックなアレンジであります。地味だけどいいカヴァーなんですよ、これが。
 ちょっぴりエレクトロ・ファンクな要素もある『震える惑星』を挟み、思い切りロマンティックな『愛はつよい』へ。リリース当時はJ-POP全盛時代で、このあたり、そのJ-POPシーンへの懐疑を強く感じて共感しておりました。
 
 軽やかな躍動感のリズムに穏やかな語感の『空気吸うだけ』は歌詞も素敵だし、静かに広がる音世界が大陸モンドな『BETSU-NI』、マーチ風なリズムに乗せて諦念と優しさを感じる歌声が響く『EVERYDAY LIFE』なども好し。
 クリスマスに浮かれる街が嫌いな人間にピッタリなクリスマス・ソング2曲も好きでした。
 しかし、一番のお気に入りは、今も昔もラストの『NIGHTINGALE IN HEAVEN』。インストなんですけどね。とても優しいモンド感に包まれる逸品で、後年のフォークトロニカ系の作品に通ずる感性が素敵であります。
 
 
 愛はつよい