ここ数日で読んだ4冊

 「赦す人」

赦す人

赦す人

 実録、団鬼六。生誕環境から死の直前まで、生涯を描いたノンフィクション。事業の失敗など大SM作家らしい波瀾万丈な流転の反面、ただひたすら優しく人間愛に満ちた実像が描かれる。
 その生き様を「赦す」というキーワードで括る作者のセンスが好いし、また、いかにも昭和のオヤジな描き方がメランコリックな感傷を呼び起こす。
 たこ八郎に関するエピソードの数々が笑えて泣けていいな。
 
 「一刀流無想剣 斬」
一刀流無想剣 斬

一刀流無想剣 斬

 機龍警察の作者による時代小説。異能な主人公とその敵役、そしてお姫さまと、まぁ普通に剣豪小説なんですけど、小気味良く進み続ける展開がグッと読ませる。
 肝心の決闘シーンがあっさりし過ぎてるのがちょいと残念。
 
 「のぞきめ」
のぞきめ

のぞきめ

 廃村での恐怖体験を綴った前半、怪異の謎を解き明かしていくミステリ要素の後半と、刀城言耶シリーズと同質な雰囲気。メタな作りもね。
 で、なかなか怖かった。何かにのぞかれる、て怖さはズルい。
 
 「黒猫の薔薇あるいは時間飛行」
黒猫の薔薇あるいは時間飛行

黒猫の薔薇あるいは時間飛行

 小難しい美学談義を交えながらの謎解きシリーズですが、蘊蓄度が薄れてきた分だけ読み易くはなってるけど、ちょっと失速した感もあり。
 切ない恋のお話としては好し。