ここ数日で読んだ3冊

 「みみずく古本市」

みみずく古本市 (ちくま文庫)

みみずく古本市 (ちくま文庫)

 由良君美による書評を集めたもの。批評のため縦横無尽に取り上げられる人名などの大半を知らなかったりしても、バッサリと切り捨てる小気味よさが面白くてたまらない。
 知の在り方を論じ尽くそうとするかのような勢いと難易度の高さに関わらず、エッセイとして滑らかに読めてしまうリズムカルな構成と筆力はやっぱ凄いなぁ。
 「書誌にもない雑書寄書のなかに玉と石とを分けてゆく眼を自分のリスクで養うこと。これが僕にとって最大の試練だし、これがまた実に心愉しい。」同じ心意気で僕は音楽を聴いていきたい。
 
 「ゴリアテ
ゴリアテ ―ロリスと電磁兵器― (新ハヤカワ・SF・シリーズ)

ゴリアテ ―ロリスと電磁兵器― (新ハヤカワ・SF・シリーズ)

 リヴァイアサン3部作が完結。スティーム・パンクな世界観の上で展開する王道な冒険少年小説、という異質さと人造生物兵器の気色悪さに慣れた分だけ、ちょっと失速感もあり。
 しかし、ニコラ・テスラを最終兵器を妄想するマッド・サイエンティストに仕立てあげて進むストーリーはやっぱ御機嫌なリズム感が好し。
 いかにもな恋愛譚に収束するラストもまぁいいんじゃないかい。
 
 「機忍兵零牙」
機忍兵零牙 (ハヤカワ文庫JA)

機忍兵零牙 (ハヤカワ文庫JA)

 「機龍警察」の著者によるSF忍者もの。危機に陥った亡国の姫と幼君を救うのは、多元宇宙を支配する強大な悪の組織と闘う謎の忍者。
 異能者たちが繰り広げる忍法合戦は、帯の謳い文句どおりに山田風太郎な色合いも強いんだけど、しかしその山風作品と比すと、エロは無し、グロさも不足という物足りなさ。まぁ少年向け忍者マンガなテイストですな。