本日の1本 宇宙人王さんとの遭遇

 
 中国語通訳のガイアは、イタリア秘密警察から極秘の依頼を受ける。目隠しをされて連れてこられた地下室で、彼女が通訳をする相手とは、、、というストーリーです。
 (以下、ネタバレありです。)
 
 とりあえず、「宇宙人王さんとの遭遇」というタイトルに参りました。そしてその内容もまた想定外に素晴らしかった。
 まず、予想どおりの展開にも関わらず、つい笑ってしまう通訳のガイアさんと宇宙人の王さんとの初対面シーンに胸キュン。
 
 イカ型な宇宙人ですが、どこか愛らしい。でもやっぱキモい。この宇宙人の造形センスが素敵すぎます。
 そして、名前は「王(ワン)」さん。地球でも最も話されている言語、中国語を勉強してきたそうです。名前も中華風。とても礼儀正しく、弱々しい。
 
 そんな王さんを秘密警察の人は執拗に責め立てます。「地球に来た本当の目的は何だ!」と何度も迫り、王さんの持っていた謎の道具を探ろうとします。
 挙句の果てには、電気ショックな拷問で王さんを痛めつける。紳士的な王さんに心を開いていたガイアはこれに猛反発、ついには突然の混乱に乗じて王さんを連れて地下室から脱出します。
 しかし、ガイアが外で目にしたのは、地上を攻撃するUFOの群れ。NATO軍(?)が反撃を開始しようとした瞬間、王さんは謎の道具を作動させ、軍の戦闘機を壊滅させます。
 呆然とするガイアに向かって王さんが中国語でひと言、「お前、バカだな。」
 なんとなく予想していたとはいえ、前半のほのぼのムードを完全にブチ壊す、なんとも後味の悪いラストであります。これもまた好し。
 
 約80分の大半は地下室の取り調べシーン。低予算ならではの優れたアイデアですが、ほとんど同じ台詞の応酬なので、中盤以降はかなり飽きてしまったのも事実。
 30分くらいに圧縮しても十分だと思う。いや、むしろその方が良かった。
 また、中国ネタでありながら、風刺としても薄味。なんかちょっと中途半端な感が残ります。
 とはいえ、冒頭に書いたとおり、かなり楽しめたのですよ。どうせC級作品だと覚悟して観たせいかもしれないけど、コメディっぽいけど微妙に笑えない、むしろ嫌悪感を覚える淡々とした展開が僕にはハマりました。
 しかし、やっぱ後味は悪いよ。