本日の1本

 処刑軍団ザップ
 
 
 ヒッピー集団に姉をレイプされた少年は、仕返しに狂犬病の犬の血を混ぜたパイを食べさせる。ところがパイを食べたヒッピーたちは凶暴化し、お互いに殺し合いを始め、さらに街の人々を襲い始める、、、というストーリーです。
 
 「サタンの息子たち」を名乗るヒッピーたちが全裸で行う謎の儀式でこの映画は始まります。お、これは、と期待させるオープニングでしたが、それ以降の展開はもうずっこけまくりです。
 そんなにショックなシーーンもないんですけど、妙に不快な印象が続くのは、おそらく製作者のヒッピー文化への嫌悪感にあふれているからでしょう。
 先の冒頭のシーンもチャールズ・マンソンを連想させますし、ただの常識はずれなバカとしてヒッピーたちが取り扱われてます。
 
 ただ、全体を包むバカさ加減はC級ホラーとしてなかなか素敵なものがあります。
 そもそも狂犬病に感染したら「知能は獣なみで本能のままに振る舞い、水を極端に恐れ、生肉を異常に欲しがる」って設定が・・・。
 簡単に人の首と跳ね飛ばすほど凶暴化しているのに、ホースで水をかけられただけで倒れていったりします。そうなの、狂犬病
 
 ホラー的な要素としては、感染したヒッピー女と関係をもった街の男たちが集団で暴徒化し、口から泡をふきながらイった目つきで人々を襲うシーンは、まるでゾンビ映画そのものですね。
 でも恐怖感、緊張感は全然ありませんよ。
 
 特に素敵だったのは、映画全体で使われる効果音。
 殺害シーンや死体の大写しシーンなど、重要なポイントになると、ピヨピヨーって間抜けな電子音が流れ出します。
 この間抜けな電子音で覆われることにより、本来怖いはずの場面での緊張感がそがれ、なんか脱力気分になってしまうんですね。
 
 ラストは駆けつけた警官たちの一斉射撃により感染者全員を射殺。
 「ヒッピーたちも楽になっただろう。」て言葉で締めくくられます。ハッピーエンド?
 ヒッピー文化、さらには狂犬病感染患者への偏見に満ち溢れた映画にふさわしい素敵なエンディングでした。
 
 ジャケで切断した手首を持ってるのは、リン・ローリー。彼女の魅力を含め、名シーンである。