本日の1枚 Thiago De Mello

 Thiago De Mello / Amazon (CD)

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 ブラジルはアマゾン出身のギタリスト、ティアゴの幻のファースト・アルバム。
 90年代になってから活躍が目立ってきた人ですが、1973年の発売時には100枚しかリリースされなかったそうです。
 でも、録音にはアイルト・モレイラやドン・サルヴァドールなど、なかなかに豪華なメンバーが参加していますよ。
 
 アマゾン出身だから、というわけではないかもしれませんが、なんか全体的に微妙なモンド感に包まれています。
 基本はブラジリアン・ジャズで、らしいリズム感や洗練されたアレンジの楽曲が多く、でも正直ちょっと退屈なブラジルものとして聴き流してしまいそうなところもあるんですけど、何か耳に引っかかるのは温室系のモンド感なんですね。
 ぬるま湯のような心地良さや野暮ったいトリッピーさとか、イージーさに加えられるヘンテコなトロピカリアさが面白いのです。
 いや、曲は普通にいい感じなんですけどね。
 
 オープニングの『Andei So Por Andar』は、軽やかに弾むピアノの音色を軸にした小粋なボッサ・ジャズ。ヒップなグルーヴィさもカッコよい。
 続くインストの『Amanhecer』は、南米のジャングル風なリズム・アレンジがのんびりとファンキー。
 爽やかなフルートの音色にリードされる『Vou-Me Embora』は、ヴォーカルのじんわりとしたジェントルさが好し。
 女性ヴォーカルをフィーチャーした『Don't Turn Away』は、ファンキー・ロックな味わいもあるクールなブラジリアン・ジャズ。
 目玉ともいえる大作の『Amadeste』は、クラシカルなフィーリングに少しばかりのエクスペリメンタルさがいい感じで。
 『Blue Sky』のように、普通にしっとりとしたボッサもあり、アルバムとしてのまとまりもよくできてるとは思います。