本日の1枚 The Mutual Understanding

 The Mutual Understanding / In Wonderland (CD)

in Wonderland

in Wonderland

 
 カナダのジャズ、ポップス界のミュージシャンたちによるスタジオ・プロジェクトが、1968年にリリースしたソフト・ロッキンなアルバム。
 これがまた高度に洗練されたアレンジとコーラス・ワークが素晴らしく、フリー・デザインあたりの音と歌声を髣髴とさせます。
 
 ジャジーでエレガントな演奏を穏やかにソフトなアレンジでくるみ、特に細やかに配されるオーケストレーションが実にクオリティの高さを表しています。
 シンガーズ・アンリミテッドやマンハッタン・トランスファー系の滑らかに折り重なるコーラス・ワークもまた素敵です。
 なんというか、日本のソフト・ロック・ファンの嗜好を寄せ集めたような作品です。
 
 オープニングの『Wonderland』は、イージーラウンジ系の演奏に「パーパパー」なコーラスが心地良い。ギリギリでイージーすぎないアレンジがツボを突いています。
 モロにソフト・ロック・ファンのハートを直撃する『Look Around』、もともとのゴージャスなジャジーさをスキャットが見事に体現する『Everybody Loves My Baby』、和製ソフト・ロック歌謡的な『I'm Old Fashioned』、ヒップなリズムに女性コーラスが美しすぎる『サンホセへの道』、女性ヴォーカルの密やかに湛える微サイケ感が素敵な『You Fascinate Me So』、軽やかさもスウィートな『When The World Was Young』、一転してスリリングな曲調の『Out Of This World』と、とにかく全曲ともお手本のような作品が続きます。
 特にお気に入りはサイケ・ポップなアレンジで徐々に盛り上がりを高める『Pretty People』と『Always True To You, Darling, In My Fashion』の2曲でした。