本日の1枚 Charlotte Gainsbourg

 Charlotte Gainsbourg / 5:55 (CD)

“5:55”

“5:55”

 
 『魅少女シャルロット』から約20年振り、2006年にリリースしたアルバム。
 作曲にはエールを、作詞はパルプのジャーヴィス・コッカーにディバイン・コメディのニール・ハノン、プロデューサーにレディオヘッドを手がけたナイジェル・ゴドリッチなどを迎えています。
 なので、エール特有の音響系な浮遊感、ナイジェル・ゴドリッチ特有の沈み込むような繊細な美しさで統一されたアルバムです。
 そしてそこに配されるシャルロットのウィスパー・ヴォイスの輝きが素晴らしい。なんとなく、同時期にリリースされていたカヒミのアルバムと同印象を受けました。
 
 さすがに20年前の少女の頃のロリ声と比べるとキュートさは影を薄めてますが、その代わりに艶やかな美しさが溢れ出してきます。儚げだった擦れ声に、力強さも宿りました。
 また、今作ではほとんどの曲が英語詞。あえてフランス語で歌わないことで父の影響を払拭しようとしたんですって。でも、英語だと気付きにくいほど仏語風な発音ですけどね。その味わいもまた魅力ではあります。
 
 冒頭のタイトル曲『5:55』は、ストリングスなどのゴージャスなアレンジに絡みつく微細なエレクトロニクス、そしてウィスパー・ヴォイスが素敵な逸品。
 ラウンジ系な浮遊感が漂ういかにもエールな音の『AF607105』、80'sニュー・ウェーヴな『The Operation』、焦燥感がざわめく『The Songs That We Sing』、ピアノの音色と激しく歌声が競り合う『Everything I Cannot See』など、目立たないけど素敵な小品が続きます。
 
 お気に入りは中でも特に目立たない、シンプルにフォーキーな『Beauty Mark』、吐息のエロティックさに魅了される『Jamais』の2曲でした。
 
 
 5:55
 
 
 The Songs That We Sing