本日の1枚 Kenny Rankin
ご冥福をお祈りいたします。 僕にとっては、清志郎死去より重いニュースでした。
Kenny Rankin / Family (CD)
- アーティスト: ケニー・ランキン
- 出版社/メーカー: ビデオアーツ・ミュージック
- 発売日: 2008/01/23
- メディア: CD
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穏やかな歌声と柔らかなギターの音色、ランキンのアルバムはどれも心に染み入るものが多いですが、僕が特に大好きなのはこの盤。一応書き添えておくと、名盤なのは「Silver Morning」だと思いますけどね。
さて、1968年にリリースされたこのセカンド・アルバム、プロデュースはファーストと同じくモンテ・ケイとジャック・ルイス、アレンジはアーティ・シュロックが手掛けています。
実はオリジナルは2曲だけで(しかも1曲は30秒ほどのインスト)、残りはすべて名曲カヴァーで占められています。
ランキンは他のアルバムでも結構カヴァーが多いのですが、まるでオリジナルかと錯覚してしまいます。何か奇抜なことをしてるわけでないのに、なぜか原曲のカラーが払拭され、どう聴いてもケニー・ランキン節が聴こえてくるから不思議。
ジェントルな歌声とアコギの音色、優美なホーンなどのアレンジが優しく響きます。ジャジーな感性のフォーキー・ポップさは、決してモロにソフト・ロッキンな音ではないのですが、でも僕がソフト・ロックに求めているものがここに詰まっているように思えます。
オープニングの『Family Theme』は、柔らかなホーンの音色が盛り上げる期待感に胸膨らむインスト。わずか30秒で終わってしまうのがなんとも惜しい。
続く『Up On The Roof』は、キャロル・キング&ゴフィンのあの名曲。円やかに流れていくメロディがなんとも心地良く、ラスト近くの緩やかな高揚感も素晴らしい。シタールの隠し味も素敵です。
『Mountains & Marian』は、ゴードン・ライトフット(すいません、知りません)の作品。叙情的なメロディを抑え気味に辿る歌声が好い。ハミングにも胸キュン。
『While My Guitar Gentry Weeps』は、もちろんビートルズの曲ですが、豪華なようでローファイな質感もあるアレンジはアーティ・シュロックの手腕によるものでしょう。レフト・バンク風ですしね。
ジェントルな歌声を軽快なホーンが持ち上げる『Four Days Gone』、渋く落ち着いた歌声を披露する『House Of Gold』を挟んで、また「ホワイト・アルバム」からのカヴァー『Dear Pludence』。力強く弾かれる弦が発するサイケ感が穏やかな曲調に与える躍動感がたまらない。
『Needle Of Death』は、バート・ヤンシュのカヴァー。英国的色彩は消え、眩しい日の光が差し込むよう。
そして『Sittin' On The Dock Of The Bay』は、このアルバムの目玉曲と言っていいでしょう。オーティス・レディングの曲ですが、クワイエット・グルーヴィなアレンジと優しくグルーヴィな歌声が文句なしに素晴らしい。リズムの緩急で生み出される静かなグルーヴ感がとてもナチュラルで素敵なんですよ。滑らかなスキャットも好し。
ちょいとボッサ・ジャズ風味のオリジナル曲『Soft Guitar』の後、ラストはドノヴァンの『Skip Along Sam』。ソフト・ロッキンなアレンジでじんわりと締めくくります。
子供たちとの家族全裸写真なジャケもまた素晴らしいですね。