本日の1枚 Bemibem

 Bemibem / Bemowe Frazy (CD)

ベモヴェ・フラズィ

ベモヴェ・フラズィ

 
 ポーランドの兄弟3人組ポップ・グループ、ベミベンが1974年にリリースしたアルバム。
 再発CDの帯には「ポーランドのセルメン」と書かれています。確かにブラジリアン・リズムを基調としたソフト・ロッキンなアレンジ、ソフトなサイケ感をたたえた美しい女性ヴォーカルの使い方なんかはセルメン風でありますが、でももっと多様な音楽性をゴチャゴチャと詰め込んだ音楽。
 その確かなポップ・センスに裏打ちされた「何でもあり」な感性は、なんとなく「ステージ101」とかに近い気がします。カッコいいし、ちょっとバカっぽいし。
 
 『Podaruj Mi Troche Slonca』は、円やかにグルーヴィなブラジリアン・リズムとソフトなアレンジ、コーラスなんかが、なるほどセルメン系であります。威勢のいい掛け声とかも独特の味わいで面白い。
 メロウなフォーキー・ポップの『Bemowe Frazy』を挟み、軽やかなサンバのリズムで始まる『Nie Bojmy Sie Wiosny』へ。女性コーラスもキュートなブラジル'66タイプのソフト・ロックなんですが、徐々に壮大な盛り上がりをみせていき中途半端に終わってしまう、何とも素敵な曲です。
 『Kolorowe Lato』は、「あーお!」て意味不明にファンキーな掛け声で始まり、ソフト&アーバンなアレンジの後はとジャズ・ロックへとまた姿を変える、つかみ所の無い面白さが素敵すぎる逸品。
 
 ジャクソン5系のヤング・ソウルな『Nigdy W Zyciu Nie Jest Tak』や『Juz Ci Nigdy Nie Przyrzekne』もいいですが、お気に入りはアーバン・メロウなフリー・ソウル『Podroz Bez Dziewczyny』。メロディもアレンジも素敵な柔らかさを湛えた曲なんですが、美しい女性の歌声による「にゃらにゃにゃー」て間の抜けたコーラスがまた最高。
 ラストの『Jajecznica』は、転がるパーカッションも心地良いファンキーなサンバ・ポップで、ストリングスなどの優美なアレンジと適度にファンキーで適度にソフトなスキャットも素晴らしい。
 
 
 Podaruj Mi Troche Slonca