本日の1枚 原田知世
原田知世 / eyja (CD)
- アーティスト: 原田知世
- 出版社/メーカー: EMIミュージックジャパン
- 発売日: 2009/10/21
- メディア: CD
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名盤であった前作「Music & Me」から2年振りとなるアルバム。
タイトル「エイヤ」はアイスランドの言葉で「島」という意味とにこと。そう、今作は日本のほかアイスランドで録音したんですって。
プロデューサーは前作と同じく伊藤ゴローで、細野晴臣や大貫妙子、さらにアイスランドではムームとヴァルゲイル・シグルドソン(ビョークを手掛けたりした人)が参加しています。
という前情報から否が応でも期待が高まりますが、過剰な期待で臨むとまずは肩透かしをくらいます。
原田知世らしい自然体な歌声と、過度な派手さのない音楽。
ところが何度か聴いていくうちに、そのシンプルに円熟味を帯びた美しさと、静けさの内面に秘めた躍動感や狂気なんかに、じわじわと心が共鳴していってしまいます。
まさに数年前のビョークやムームに感じたアレ、と書いて分かってくれる人がいれば嬉しいですが。
作詞はほとんど原田知世本人によるもの。
例えばラストの『青い鳥』なんて、言葉が見事に音楽に溶け込んでいて、いや全く恐れ入ります。
柔らかなメロウなアコギの音色が心地良い『ハーモニー』や『FINE』、美しさに緊張感を伴う『夢のゆりかご』とか、どの曲も実に味わい深い。
ムームが手掛けた2曲『us』と『予感』は、可愛らしい音を配しながらも消え入りそうな音や高音ヴォイスが儚げであったり、風のようにうなる電子音が叙情的であったり。
淡いエレクトロニクス具合が素晴らしい細野作品『ソバカス』も好きですが、特にお気に入りは『voice』。柔らかメロウなアコギとノスタルジックな電子音を背景に、ちょいとけだるい歌声に描かれる淡いサウンドスケープが逸品です。
あと気になったのは、素敵なウィスパー・ヴォイスを披露する『Giving Tree』。なんだか「Nunki」のカヒミみたいな雰囲気で、こんな歌い方もできるんだなぁとこれまた感心。
FINE