本日の1冊 日本辺境論

日本辺境論 (新潮新書)

日本辺境論 (新潮新書)

 辺境性を軸に語る日本人論。著者が冒頭で述べるように、内容自体は決して目新しいものではないですけど、とにかく文章がキャッチーであります。
 内容よりもそのキャッチーさに惹かれてしまうのは、おそらく僕と同世代(プラス10歳くらい)の人たちではなかろうか。
 端的にいえば、80年代にニューアカの洗礼を受け、90年代に知を見失い、00年代以降は全くついていけてない世代である。
 内田氏のキャッチーな著作を読んでいると、自分はまだ本気を出せばついていける、と錯覚してしまうのですよ。
 知的好奇心を刺激されてるような気分を味わえるけど、実は「ふむふむ」と共感、安心しているだけ。
 そしてそれが、わかっていても止められない。
 佐々木敦が「ニッポンの思想」の冒頭で内田樹を【賢者の教え】に分類しているのを読んだとき、「それは言わないでー」とか思っちゃいました。