本日の1枚 Nora Guthrie

 Nora Guthrie / Emily's Illness (7")

Emily's Illness c/w Home Before Dark [Analog 7 inch]

Emily's Illness c/w Home Before Dark [Analog 7 inch]

 
 ウッディー・ガスリーの娘、ノラ・ガスリーが1967年にリリースした「幻のシングル」が再発されました。
 「幻の」なんて謳い文句は数多あれど、こりゃ確かに名盤ですよ。
 ガスリーの娘だけど社会派なフォーク・ソングではなくって、とても美しいアシッド・フォークであり、またソフト・ロック的な味わいもあるのです。
 両面の2曲とも、当時付き合っていたエリック・アイズナーが手掛けたもの。エリック・アイズナーはフィフス・アヴェニュー・バンドの前身、ストレンジャーズのメンバーだった人なんですって。
 
 まずはA面の『Emily's Illness』。
 重厚でややダウナーな演奏がとろーんと響くサイケデリック・ポップなんだけど、どこか洒落た雰囲気もあり、またソフト・ロッキンな甘美さもあります。
 甘美なサイケ・ポップとはいえ色彩感はどんよりしていて、カラフルさはなくて灰色っぽい。
 そこに漂う彼女の歌声がまた素晴らしい。まぁロリータ・ヴォイスなんだけど、切なげにキュートでたまんないのですよ。
 幻想的な楽曲と相俟って、妖美な世界観を醸し出しています。
 
 B面の『Home Before Dark』も、同様な雰囲気の楽曲なんですけど、こちらはもうちょっとソフロ・テイストが強め。
 ストリングスやホーンのジャジーなアレンジも効いていて、また曲の「重さ」がグルーヴ感を生み出してます。
 儚げなメランコリックさも好いけど、やっぱA面のストレンジな美しさに惹かれちゃいますね。