本日の1枚 Mary Hopkin

 Mary Hopkin / Earth Song, Ocean Song (CD)

Earth Song Ocean Song

Earth Song Ocean Song

 
 アップル・レコード初の女性歌手、メアリー・ホプキンが1971年にリリースしたセカンド・アルバム。
 ポール・マッカートニーの意向を踏まえたポップなファーストとは大きく路線を変更し、思い切りトラッド・フォークなアルバムに、とわざわざ説明するまでもないでしょうが、英国フォークの名盤であります。
 
 プロデュースはトニー・ヴィスコンティで、ヴァイオリンなどの弦楽器をふんだんに使いながらも、あくまでもシンプルな印象を受けるアルバムに仕上げています。
 ほのぼのとしているようで、でもとても「寒い」サウンド
 英国フォークらしい陰影のメランコリックさと、大地に根差した力強さも秘めています。
 
 キュートだけど気品や慈愛の溢れる彼女の歌声との相性も抜群で、消え入るように儚げであったり、包み込むような女性のパワーを感じたり、楽曲によって微妙に異なる魅力を引き出しています。
 まぁでもどれもキュートでたまんないんですけど。
 
 温もりフォーキーな演奏に淡く震える歌声が素晴らしい『International』でスタート。
 叙情的なメロディを力強く辿る『There's Got To Be More』、リコーダーの音色も儚く愛らしい『Silver Birch』、
 じんわり暖かなアレンジが優しく染み入る『Streets Of London』、ヴァイオリンの伸びやかさも好い小品『The Wind』、地味な曲ばっかだけと名曲。
 
 特にお気に入りは、アルバム・タイトルの2曲でした。
 『Earth Song』は、「森の奥深く足を踏み入れる」系のアコギと凛とした歌声が素敵で、
 『Ocean Song』は、ギターの紡ぎと「はぁー」って歌声のミニマルな反復によるアシッド感が素敵。アルバムのラスト曲なんですけど、終わった後の余韻がまた素晴らしいのです。
 
 
 International
 
 
 Earth Song