本日の1枚 Sly & The Family Stone

 Sly & The Family Stone / There's A Riot Goin On (CD)

THERE'S A RIOT GOIN' ON

THERE'S A RIOT GOIN' ON

 
 スライ最高傑作との声も多い、1971年リリースのアルバム。この時期のスライは気分の沈み具合も最悪で、薬物におぼれながらアルバムを制作したそうであります。
 しかし20年以上も前に僕は、そんな知識など全く無しに初めてこのアルバムを聴き、そしてなんてカッコいいのだろうと思った。
 当時は「ダウナー」と評されることが多いことにも驚いた。だって、『Smilin'』や『Runnin' Away』とかすっごくポップじゃない。
 もともと僕はプリンスが好きだったので、同質のサイケ・ポップさに惹かれたのであります。
 
 さて改めてじっくり聴いたみたら、そのメロウ・グルーヴィさの裏に、確かに「ダウナー」さを感じたのでありました。
 例えばとってもグルーヴィな冒頭の『Luv N' Haight』。躍動感やメロウさと同時に溢れかえる狂気に満ちた歌声。いや、こりゃラリってるだけなのか。
 続く『Just Like A Baby』も全然ベイビーな雰囲気じゃないぞ。クールにかつ単調に繰り返されるリズムのアーシーさが素敵なんだけど。
 
 ラリってる感でいえば、やはりタイトルもいってる『Spaced Cowboy』。というか、このタイトル好いなぁ。
 ラストの『Thank You For Talkin' To Me Africa』も、薬物的なアシッドさを感じます。地下で激しく蠢いているようなベースがカッコ良い。
 
 ファンキーな曲もいいですが、やはりサイケ・ポップ感を味わえる曲が好きです。
 まずは名曲『Family Affair』。曲自体はファンキーなんだけど、気怠いヴォーカルの穏やかさとその裏の狂気に包まれる。優しい曲のようで、すごく張りつめた空気を感じるのです。エレピなどのメロウさも素敵だし。
 そして、キュートと言ってもいいポップさの『Runnin' Away』も好し。
 今も昔も一番好きなのは、メロディ・センスも光る『Smilin'』。基本は浮遊感たっぷりの柔らかな音なのに、スリリングなホーンとかも効いていて、さらに別世界に向いている歌声も素晴らしい。
 
 
 (You Caught Me) Smilin'