本日の1本 ランナウェイズ

 1975年のロサンゼルス。ロックスターを目指すジョーン・ジェットは、音楽プロデューサーのキムに自分を売り込む。キムはルックスに優れたシェリー・カーリーをヴォーカルに据え、女の子ロックバンド、ランナウェイズをデビューさせる。一躍人気者となった彼女たちだが、日本公演中にメンバー間で軋轢が生じ、、、というストーリーです。
 
 原作はシェリー・カーリー、監修はジョーン・ジェット。本人たちが手がけただけあって、そこはやはり美談的というか、あまり薄汚い話は出てこない。メンバー間のいざこざとか、きっともっとドロドロしてたんだろうけどね。
 ドキュメンタリーとしてではなく、女の子バンドの栄光と挫折を描いた青春映画として観るべきなのかな。でもその割りには挫折部分への踏み込みが弱いか。一番手をかけて描くべきところがアッサリしすぎ。
 というか、ジョーン・ジェットとシェリー・カーリー以外のメンバーのことはほぼ触れられてないよ。
 
 などと言いつつ、結構興味深く観ました。映画としては凡庸かもしれないけど、ランナウェイズの音楽を知ってる者にとっては面白いと思いますよ。
 ただ、さらにダメ出しすると、ロックバンドのドキュメンタリーなのに作中での音楽の選曲と聴かせ方がイマイチに思えました。
 オープニングすぐのスージー・クアトロはグッときたんだけど、あとはなぁ・・・。特に、肝心のランナウェイズの作品の使い方がしっくりこない。
 
 この作品を観て一番の発見は、ランナウェイズって米国ではそんなに売れてなかったんだ、てこと。売れてたのは日本だけだったんだ。
 そして、作中では日本での爆発的な人気、日本の女性ファンの暴走ぶりが描かれてます。この日本の描き方が酷すぎて面白い。
 ひと昔前のモンドな視点での日本像で、おかげで映画全体にインチキ臭さが漂っちゃうよ。