本日の1枚 The Tree People

 The Tree People / The Tree People (CD)
 
  
 1979年にリリースされた、米国オレゴンの自主制作フォーク。アコギとフルート、パーカッションの3人組が奏でるのは、どんよりぼんやりとした内省的なアシッド・フォークであります。
 非常に繊細な音なんだけど、でもヴォーカルなんかはちょっと野暮ったい面もあって、そしてインドや南米なテイストにスピリチュアルな志向を感じます。
 どんよりぼんやりな浮遊感のあるアレンジ(音が悪いだけ?)は、心地良いような悪いようなドリーミーさであります。
 
 冒頭の『Stranger』では、音の薄さから広がっていくサウンドスケープが素晴らしく、エレクトロニカ以降の音楽に通じる空気を感じます。
 インストの『Sliding』などはラーガなアレンジで、いかにも東洋思想に感化されてるって雰囲気ではありますが、淡い音の色合いは出色の美しさ。
 幽玄な世界観の『Pot Of God』、深い森の木漏れ日的な『Opus』、疾走するアコギの高揚感もコズミックな『Space Heater』など、どの曲もちょっとヘンなようで味わい深いものばかり。
 
 『The Pineapple Song』のキュートなサウンドと情けないつぶやきヴォーカルも好いし、ラスト曲『Bring In The Water』では女性コーラスを配し、とろーんとしたアーシーさも素晴らしい。
 一番のお気に入りは、『Morning Song』。なぜかボッサなリズムで、ブリブリしたベースもいきなりグルーヴィ。そこに清涼なフルートの音色と、投げやりだけどジェントルな歌声が素敵に響くのです。
 
 
 The Pineapple Song