本日の1枚 Her Space Holiday

 Her Space Holiday / The Young Machines (CD)

Young Machines

Young Machines

 
 マーク・ビアンキによる1人宅録ユニット、2003年にリリースされた5枚目のアルバムです。
 当時に流行っていた生音エレクトロニカ・ポップなサウンドがとても心地良いんだけど、ヒップ・ホップ寄りなビートはとてもグルーヴィだし、ぼんやりと煌めく音と繊細なヴォーカルはとてもドリーミーであります。
 まず冒頭の『The Young Machines』はインスト。音響系のブレイクビーツに軽やかなヴァイブの音色がキュートで、ぼよーんとした浮遊感が心地良すぎる逸品。
 しかし、続く2曲目の『Something To Do With My Hands』からは、ぼそぼそと呟くようなジェントルな歌声が聴こえてきます。実は歌ものエレクトロニカ・ポップなアルバムであったのですが、穏やかで切ないヴォーカルがまた実に「うたごころ」を感じさせるのです。
 また、ヒップ・ホップなトラックに、、、というのも当時はまぁ割りと流行りだったような気もしますが(それこそベックとか)、渾然としてるがあくまでも儚くドリーミーで、実験的であってもリラクシンに聴こえる「たおやか」なサウンドは、静かに異色さを放っていました。
 
 お気に入りは、タイトルに地名のつく2曲。
 まずは、やや耽美なギターの煌めきがまばゆい『Sleepy California』。これを初めて聴いたときは、なぜかルー・リード『ワイルドサイドを歩こう』的な雰囲気も感じました。
 もう1曲は、ほんのり暖かなドリーミーさが素敵な『From South Carolina』。ブツブツした電子音と繊細なヴォーカルの浮遊感も好いんだけど、中盤でいきなりブレイクが入り、静かな緊張感をたたえた木琴やストリングスなどのオーケストレーションを配しながら終盤に向け清々しく盛り上がる様もまた素敵であります。
 
 
 From South Carolina