本日の1枚 ACO

 ACO / LUCK (CD)

LUCK

LUCK

 
 フル・アルバムとしては9年振りだそうな。生楽器でシンプルにバンド・サウンドしています。
 実は僕はエレクトロニカに接近していた頃の彼女の作品が好きだったんですけど、音がちょっと控えめなこのアルバムを聴いて、なるほど彼女の「うた」の魅力が引き立つなぁと。
 どの曲の歌声からもブルージーな印象を強く受けました。しかも、サラリとしているようでどこか官能的であり、そしてじんわりとしたグルーヴィさが声から響いてきます。
 
 翳りのある歌い方は内省的に聴こえ、例えば不穏な雰囲気のフォーキー・ソウル『Showtime』や、沈み込むような音に気だるい歌声で呼びかけられる『LUCK』なんかを聴いてると、なんだか居てもたってもいられない不安を感じたりします。
 投げやりなアヴァンギャルドさが重くジャジーな『Holyman』、ノイジーさがグルーヴィな『Yes』など、やっぱどの曲も不穏だなぁ。カッコいいんだけど。
 
 アルバムを頭から聴いていて、ふと声のグルーヴィさを強烈に意識した『Innocent』が一番のお気に入りです。声だけでなく、声の発する世界観がグルーヴィなのです。
 不穏な曲が続いた後、ゆっくりとだが力強く踏み出していくラスト『Control』で締めるのがいいなぁ。この曲のざらついた音も好いわ。
 
 
 Innocent