本日読んだ2冊

 「道化師の蝶」

道化師の蝶

道化師の蝶

 ちょっと前に『これはペンです』を読んでその言語表現の妙にうなりましたが、それに加え、視点の切り替わりにより迷宮を「旅」するような感覚にクラクラきました。
 もう1篇の『松ノ枝の記』も同タイプでありながら、メビウスの輪を辿るような「旅」か滲み出るある種の締念を含んだ美しさが素晴らしい。理系な難解さがユーモラスでもあり、思わず続けて再読してしまいました。
 とりあえず、祝!芥川賞であります。
 
 「恋する原発
恋する原発

恋する原発

 震災支援チャリティAVの制作現場をストーリーの軸に据え、虚実世界を飛躍する下ネタの羅列は刺激的であるというより痛々しい。
 おふざけなエロ話に風刺を挟み込むスタイルは、とても「昭和」な感じがして、なんとなく懐かしい気分になりました。
 合間に挿入される「震災文学論」は興味深いんだけど、せっかくのスピード感を落としてしまってるような。