本日の1枚 Aspidistrafly

 Aspidistrafly / A Little Fable (CD)

A Little Fable

A Little Fable

 
 Kitchen.レーベルを主宰しているシンガポールの男女ユニット、アスピディストラフライのセカンド・アルバム。2010年に日本で制作されたそうで、haruaka nakamura、Kyo Ichinose、徳澤青弦など日本人アーティストが多数参加しています。
 フォークトロニカ〜アンビエントなアルバムなんですけど、その淡い色彩と儚くも優雅な美しさがあまりにも素晴らしい。
 まずは2曲目の『Landscape With Fairy』に軽い衝撃を受ける。鳥の鳴き声でスタート、アシッド・フォーキーなサウンドから溢れるエレクトロニカな感性、そして穏やかに語りかけてくるウィスパー・ヴォーカル。その薄い空気感と儚げなハッピーさにグッときました。
 そして続く『Homeward Waltz』でも、同じく鳥の鳴き声などの自然音が使われてますが、その配置がとてもキュートに思えたります。目覚まし時計の音とかもキュートで、儚げな世界観と合わせて、じんわりと静かに多幸感に包まれるような気分です。早起きした休日の朝に聴きたい音楽。
 
 どこかのレコ屋でヴァシュティみたいと評されていたヴォーカルですが、もっとアンニュイ(!)な雰囲気が強く、ボソボソとした声の浮遊感もまた素敵です。
 例えば吐息のみがたゆたう『Wooden Room』とか、ゆらゆらした空気の揺らめきに、何と言うかノスタルジックな心地良さを感じます。
 室内楽な演奏にこのヴォーカルも好いのですが、アコギのみのシンプルにネオアコしてる『Dear Sylvan』も好いなぁ。しかし、やはりエレクトロニカな感性がどこかからか滲み出ている。
 
 お気に入りは、儚げな世界観が素敵すぎる『Gensei』。あくまでも薄い「うー」って女性コーラスが重なる美しさがたまらんなぁ。
 あとは「きらきら星」のカヴァー『Twinkling Fall』。暖かな部屋で感じる冬の寒さな曲で、掴んだら壊れてしまいそうな脆さが好いのです。微妙なクネクネ感もまた素敵で。
 
 
 Landscape With Fairy