本日の1本 ちいさな哲学者たち

 
 フランスのとある幼稚園で行われた2年間に渡る哲学の授業を記録したドキュメンタリー。
 登場するのは若いめの女性教師と3歳から4歳の園児たち。教師の問いに対し、ただ園児たちに答えを考えさせ、議論させる。
 始まってまず目を引くのは、子供たちの人種が多様なことでありましょう。むしろ白人のほうが少ないかも。
 子供たちの意見は、やはり大半は親の発言の受け売りです。この人種多様な集団だからこそ、活発に議論が進む下地ができているのかもしれません。
 それにしても、子供たちの思考の根本に、日々の親の発言が刻み込まれていることを痛感しました。例えば、妊娠している先生に対し、赤ちゃんがお腹にいるから自由じゃないよね、と語る子供がいたり。これは気をつけないと・・・。
 
 
 そして、子供たちに考えさせるテーマも凄い。「リーダーとは?」「自由とは?」「友達と恋人の違いは?」
 大人でも答えに窮する問いに、一所懸命に言葉を見つけようとする子供たち。前述のとおり、親などの言葉のコピーから始めるものの、それが次第に子供たちの言葉へと定着していく様子がアリアリと窺える。
 子供たちが何を言おうが決して否定せず、対話の舵取りに徹する先生の在り方にも感動しました。子供たちを通して、対話の本質を垣間見たような気がしますね。