本日の1枚 Ebbanflo

 Ebbanflo / Spectre Of Paradise (CD)

Spectre of Paradise (韓国盤, 紙ジャケット仕様)

Spectre of Paradise (韓国盤, 紙ジャケット仕様)

 
 米国のフォーキー・ポップな男女デュオが、1980年に自主制作でリリースしたアルバム。
 ガット・ギターと歌声を中心に据えた基本的にはシンプルな楽曲ばかりなのですが、そこにラテン・フレイヴァーなパーカッションや爽やかなフルートの音色などが絡むことで、あまり聴いたことのないユニークなアルバムとなっています。
 そして交錯する2人のアルペジオと歌声の辿るメロディが、これがまたとても美しい。
 やや野暮ったい面もあるがジェントルな男性ヴォーカルと、伸びやかでアシッドな味わいもある女性ヴォーカル。どちらも力のこめ方と抜き方のバランスが好く、そしてまた明るい調子の曲でもどこか内省的な雰囲気があります。
 某レコ屋の評に「ニック・ドレイクとブリジット・セント・ジョンがデュオを組んだら?」と書いてありましたが、それもまた納得の歌声なのです。
 
 冒頭の『Jamaica Fine Day』は、聴き始めてしばらくはルーラルなSSWかと思いきや、トライブでクールなパーカッションとフルートの交わりがやたらとカッコいい。
 続く『One-Horse Town』は女性ヴォーカルがメインですが、基本はアシッド・フォーキーなのに、チャカポコなリズムにジャジーなフルートと、あまり味わったことのない音構成にグッときます。
 同様に『I'm Losin' You』や『It's All The Same』なども、アシッド・フォークな感性と土着的なグルーヴィさが同居しており、やはり「何かが違う」感があります。
 
 僕のお気に入りは、なぜかヤング・フォーキー・ソウルな味わいの『It All Depends On You』。爽やかな女性コーラスも好し。
 爽やかといえば『It's Only Temporary』も好いな。軽やかさも加わる、アコギとフルートの爽やかでかつ何故かグルーヴィな味わい。なんとなくジョイスの「水と光」を思い出しました。