本日読んだ3冊

 「バイ貝」

バイ貝

バイ貝

 仕事などで溜まった「鬱」を減ずるため、庭に生い茂る草を刈る鎌を買い、こげつきやすいフライパンの代わりに中華鍋を買い、趣味を謳歌するためデジカメを買う。 
 消費による快楽を求めては失敗を繰り返す様は、貨幣経済を批判しているわけでもなく、ただまぁ面白いのであります。この微妙な笑いのセンスはやっぱツボにハマっちゃうなぁ。
 しかし、くだらないお馬鹿エッセイ風でありながら、そこはやはり小説として成立させてしまう筆力にもあらためて感心する。
 
 「逡巡」
逡巡

逡巡

 40編ものショートショートを収めた短編集。涙腺ゆるむいい話が最後の1行で一気にアホ小説へと叩き落としたり、その逆であったり、ホラー化したりと、その「オチ」の素晴らしさは感動的であります。
 それを支えているのは、最後の1行まで引っ張る前振りの筆力。いやぁ、面白かったです。
 
 「ドS刑事 風が吹けば桶屋が儲かる殺人事件」
ドS刑事 風が吹けば桶屋が儲かる殺人事件

ドS刑事 風が吹けば桶屋が儲かる殺人事件

 連続放火殺人事件の担当となった若手刑事が組まされたのは、猟奇殺人マニアの美人刑事で、というお話。
 タイトルどおりに殺人の連鎖がキーになるわけですが、謎解きな要素は薄く、まぁ全然ミステリしてないですな。でも面白いですよ。
 ユーモア・ミステリのようであるが、しかし死体描写なんかはかなりエグい。好みは別れましょうが、このあたりが著者の真骨頂ですな。僕は大好きであります。