本日の1枚 The Beach Boys
The Beach Boys / That's Why God Made The Radio (CD)
- アーティスト: BEACH BOYS
- 出版社/メーカー: CAPIT
- 発売日: 2012/06/01
- メディア: CD
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大学生のあるときまで、ビーチ・ボーイズは自分の聴きたい音楽リストには全く載っていなかった。彼らのパブリック・イメージといえば、「サーフィン、海、女の子」。どれも僕の苦手なものなので、聴く前から嫌悪してしまっていたのであります。
しかし、サークルの先輩が部室でかけていたサイキックTVの『Good Vibration』カヴァーを聴いて、一気に興味がわき出してきました。なので、僕が最初に購入したアルバムは「Smiley Smile」であります。
また、ソフト・ロックが流行り出した時期に、「Pet Sounds」が妙に神格化されてましたが、実は僕もまた同アルバムに強烈に惹かれたのでした。
などと個人的なビーチ・ボーイズ史を書いてしまったのは、このアルバムを聴いた印象が、どうも前述の2枚と被っちゃうからなのです。
昨年の「Smile Sessions」とこの新作が、「Smiley Smile」と「Pet Sounds」の組み合わせと同種に感覚的に思えるのです。もしかして、わざと? と勘ぐってみたり。
さて、まさかの新作は、結成50周年を記念したプロジェクトから生まれたそうで。現存メンバーが終結したとは聞いていましたが、参加者にはなんとデヴィッド・マークスの名前までありました。
そして、やはりまぁブライアン前面な印象ではありますが、他のメンバーの持ち味もしっかり出てます。特にマイク・ラヴの甘い低音ヴォイスがちゃんと効いていて、うーむ、これはビーチ・ボーイスのアルバムですよ。
冒頭のアカペラから2曲目のタイトル曲に続く、重厚なコーラスが織り成す甘美にユルさがいきなり感動的です。こんな風にしたらファンは喜ぶだろう、みたいな狙いを感じないでもないですが、でも実際に喜んじゃいますよ、やっぱり。
『Isn't It Time』は、シンプルめだけどグルーヴ感が素晴らしい。そのグルーヴィさを生み出しているのは、まぎれもなくマイク・ラヴの声であります。
微妙なモンド感も軽やかな『The Private Life Of Bill And Sue』、どどーんと重厚なコーラスが押し寄せる『Strange World』とか、どれもやっぱビーチ・ボーイズだなぁ。当たり前だけど。
僕のお気に入りは、ちょっと間の抜けたスカスカ感が素敵な『Beaches In Mind』と、穏やか柔かな浮遊感たっぷりな『From There To Back Again』。
特に後者は、いわゆるブライアン・チルドレンなグループたちが奏でてるサウンドを聴いてるような、なんだか不思議な気分を味わっております。
From There To Back Again