本日の1本 カミングアウト・オブ・ザ・デッド

 
 
 米国郊外の小さな田舎町で、母親にカミングアウトしようとしていたゲイのカップル。ちょうどその頃、テロリストにより町にゾンビ化ウイルスがバラまかれて、、、というストーリーです。
 (以下、ネタバレありです。)
 
 ジャケに「ショーン・オブ・ザ・デッド以来の傑作」と書かれているのを見て、半信半疑で、でも期待して観てみました。
 まぁ「ショーン・・・」には全く及びませんが、ゾンビ・コメディとしてはまぁまぁの秀作かと。
 とりあえず、オープニングのキュートなトイ・ポップにグッときました。
 
 厳格な母親にカミングアウトするため、彼氏(?)を連れて実家に戻るゲイの男性。人種的な悩みからアイデンティティ・クライシスに陥りかけているイラン人の少女。この2組を軸に、ストーリーは展開していきます。
 イラン人の少女が愛を告白された瞬間、彼氏にゾンビがガブっ!
 
 カミングアウトした瞬間、ウイルスに感染していた母親が変貌。
 
 様々なエピソードを盛りだくさんに挟みつつ、次々とスピーディに展開していくので、馬鹿っぽいのにコースター的なハラハラ感も味わえます。

 コメディ風といえど、その笑いのセンスはかなりブラック。助けた子供が車に轢かれてバラバラになったり、エグくて笑いづらいネタも多い。
 何より、主役のイラン人少女を巡る展開が酷い。ゾンビ化はイスラム原理主義者の仕業との政府のアナウンスを聴いた近所の人が、少女を監禁・拷問し始めるのです。
 
 ゲイのカップルは、逃げ込んだ教会で強制的に「更生」させられかけます。これまた拘束されて。
 全体的な流れはとても好いのだけど、人種差別・ゲイ差別のギャグセンスでは、あんまり笑えないよ。気分悪いよ。
 ラストでは、テロリスト対策として新町長が武装を呼びかける演説で終わります。あれ、ゾンビ本当に殲滅されちゃったのか。
 やっぱ一番怖いのは人間、てなオチもなんだかスッキリしないよな。