ここ数日で読んだ5冊

 「黒猫の接吻あるいは最終講義」

黒猫の接吻あるいは最終講義

黒猫の接吻あるいは最終講義

 バレエ「ジゼル」を主ネタにしながら、ポオの美女再生譚の解釈を絡めて語りまくる美学蘊蓄が心地良い。長編なので、前作短編集よりも心地良い。
 ミステリとしても恋愛ものとしてもストーリーはイマイチだけど、それを感じさせる前に上手く主ネタで絡めとる手腕も好し。
 
 「事件でござるぞ、太郎冠者」
事件でござるぞ、太郎冠者

事件でござるぞ、太郎冠者

 狂言師に無理やり弟子入りした女性が探偵役となる連作短編集。あまりにご都合主義なキャラ設定もまた好し。
 そして、無理やり狂言に絡める謎解きもまた素直に楽しめました。
 
 「パラダイス・ロスト」
パラダイス・ロスト

パラダイス・ロスト

 D機関シリーズ3作目は、5編を収録した短編集。確かに1作目を読んだときのようなハラハラ感はなくなったけど、しかし結末で目が点になっちゃう展開の妙はますます冴えている感があります。
 特に最後のお話は、なぜか温かい気持ちになる読後感も含めて衝撃的だ。
 
 「オブ・ザ・ベースボール
オブ・ザ・ベースボール (文春文庫)

オブ・ザ・ベースボール (文春文庫)

 文庫で再読。空から人が降ってくる町。レスキューチームの一員として雇われている主人公は、市から支給されたバットで落ちてきた人を打ち返す。
 ただの不条理小説としてでは済まされない、長閑な微笑ましさとヒリヒリした感覚を同時に伴う世界観が素晴らしい。
 もう1編の「つぎの著者につづく」はまさに円城ワールド、大好きな作品であります。
 
 「僕は友達が少ない 7」
僕は友達が少ない 7 (MF文庫J)

僕は友達が少ない 7 (MF文庫J)

 おや、このラストの展開に意表をつかれました。