ここ数日で読んだ4冊

 「心に訊く音楽、心に効く音楽」

 高橋幸宏が半生を振り返りながら語るディスク・ガイド。
 その穏やかな語り口と音楽への思いにグッときちゃいます。同時期にリリースされたトリビュート盤を聴きながら読むべし。
 ちなみに一番心に響いたのは、「計算され尽くして作られた歌謡曲とか、そういうのを本当は無機質と言うんだよ。」という細野さんのお言葉でした。
 
 「先生とわたし」
先生とわたし (新潮文庫)

先生とわたし (新潮文庫)

 由良君美の評伝という形をとりながら、師弟論へと発展させて締め括る構成の妙が面白い。
 由良君美の父親まで丹念に調べあげた精密さがあるからこそ、師弟関係が崩れていく過程が泣かせる。
 しかし、師を語りながらちょっと自慢が過ぎやしないかい。
 
 「虚像の道化師」
虚像の道化師 ガリレオ 7

虚像の道化師 ガリレオ 7

 ガリレオ・シリーズの新刊は短編集。長編が続いてたのでどうしても物足りない感が残るけど、まぁこれはこれであっさりと面白い。
 ガリレオらしい科学的謎解きの『幻惑す』よりも、ただ普通に人情ミステリな『偽装う』のほうが好かったけど。
 
 「私たちが星座を盗んだ理由」
私たちが星座を盗んだ理由 (講談社ノベルス)

私たちが星座を盗んだ理由 (講談社ノベルス)

 ミステリというより残酷な青春譚という趣の、ラストでひっくり返る短編5編。
 少年少女を主人公にしてややほのぼのと続く物語が、最後にどーんと暗闇に突き落とされる印象で、なんとも後味の悪い読後感が残ります。その突然に襲いかかるブラック度が好いなぁ。