ここ数日で読んだ4冊

 「建築の大転換」

建築の大転換

建築の大転換

 中沢新一と建築家・伊東豊雄の対談。伊東氏の建築を軸に、いつもの中沢節が展開されていきます。
 しかし、ここんとこピントがずれてるように思えた中沢節が、共に語ることで近代建築批判にシフトできたように見えるのは、やはり伊東氏の形象化能力の賜物でありましょう。
 
 「グレイトフル・デッドマーケティングを学ぶ」
グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ

グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ

 一応ビジネス本として真っ向からデッドの歴史を分析しているが、とは言えやはり、デッドの魅力を語ったファンからの賛辞として読むべきでしょう。
 まぁしかし、分かりやすいし面白い。
  
 「ページをめくる指」 絵本を語るエッセイ集。と言っても単なる紹介本には終わらず、鋭い洞察力で内外の絵本を批評していきます。
 書かれる絵本の変遷から著者の人生観まで分析するその手法は鮮やかであるが、分かったからもうそれ以上言わないで、てな気分にもなる厳しさもあり。でも基本的に視線は暖かでもあります。
 石井桃子との対談がまた好いなぁ。
 
 「蘆屋家の崩壊」
蘆屋家の崩壊 (ちくま文庫)

蘆屋家の崩壊 (ちくま文庫)

 パロディっぽいタイトルですが、純和風な怪奇短編集でありました。ホラー・ミステリー的であったり、和もの幻想小説的であったり。
 ユーモラスな語りで展開するにも関わらず、どれも微妙に陰惨な結末が訪れる。何ともすっきりしない読後感もまた好し。