ここ数日で読んだ2冊

 「ゴースト・オブ・ユートピア

ゴースト・オブ・ユートピア (Jコレクション)

ゴースト・オブ・ユートピア (Jコレクション)

 「一九八四年」に「ガリヴァー旅行記」など文学作品10篇をモチーフに、理想郷を求める者たちと語らうことで、いまここに表出するディストピア
 時にエログロであったりしながら、いずれも中途半端に収束、ラストの「華氏451度」ではいきなり書物を巡るメディア論に展開する。
 細部は衝撃的なまでに印象深いが、全体としては薄モヤに覆われてぼんやりしてるのが面白い。
 
 「思想をつむぐ人たち 鶴見俊輔コレクション1」 
 伝記的な作品を集めたアンソロジージョージ・オーウェルからミヤコ蝶々まで、あくまでも共感をもとに描かれる人物像よりも、むしろその共感ぶりに共感してしまいます。
 読み物としても面白い伝記であると同時に、共感される思想の連鎖から、氏の膨大な著作群を読み解いていく糸口を見たような気がしました。