ここ数日で読んだ3冊

 「東京プリズン」

東京プリズン

東京プリズン

 米国に留学している1980年の「私」に、作家をしている2009年の「私」が語りかける。不意に視点が行き来する、時空を超えた対話を軸にしながら、留学先の高校でのディベートの授業を迎える。テーマは「天皇の戦争責任」。
 母、死したヘラジカ、ベトナムシャム双生児、そして大君が語る言葉を浴びつつ、一度は敗れた過去のディベートに決着をつける。
 タブーともいえるこのテーマに踏み込み、胸がすく「言葉」を語り得る著者の筆力は凄まじい。折口信夫アニミズムっぽい天皇論はなんとなく曖昧に終わっちゃっても、「私」の物語は完結し得ている。
 ドキドキハラハラするような場面はないのに、読んでる間ずっと心臓はバクバクしてました。久々に小説を「読んだ」気分です。
 
 「鬼談百景」
鬼談百景 (幽BOOKS)

鬼談百景 (幽BOOKS)

 
 構えて読んだけど、あんまり怖くなかった。ホッ。超短編ばっかだからね。小さくゾクっと。
 
 「あの日からの建築」
あの日からの建築 (集英社新書)

あの日からの建築 (集英社新書)

 タイトルどおり、震災後の取り組みのドキュメンタリー的な内容。地元の人との対話を軸にしようとする姿勢には共感。
 そして、社会と建築家の距離感に身悶えする、震災後の建築家の苦悩がヒシヒシと。