ここ数日で読んだ4冊

 「abさんご

abさんご

abさんご

 横書きで、平仮名ばかり、長過ぎる一文。まずはその実験的に見える文章に面食らう。読みにくく、なかなか意味が浮かんでこない。
 しかし、不意にリズムに同調するや、語と情景が美しく浮き上がる。生から死を淡々と綴る75歳の「うたごころ」、身をよじるような感覚と霊妙さにじわじわ締め付けられるような感じで。
 「家事がかり」「金銭配分人」など、ヒトを表す語が発する拒絶感もまたじわじわと冷え冷え。
 
 「古代から来た未来人 折口信夫
古代から来た未来人 折口信夫 (ちくまプリマー新書)

古代から来た未来人 折口信夫 (ちくまプリマー新書)

 「まれびと」をキーに折口信夫の思想を紐解いていく、いかにも中沢新一らしい展開がとっても面白い。
 シンプルで読み易いけど、折口信夫というより中沢新一の入門書といった趣で。
 
 「シルバー川柳」
シルバー川柳 誕生日ローソク吹いて立ちくらみ

シルバー川柳 誕生日ローソク吹いて立ちくらみ

 タイトルどおりに老人な川柳集。その侘しいユーモア・センスが想定外に素敵でした。
 「起きたけど 寝るまでとくに 用もなし」
 「歩こう会 アルコール会と 聞き違え」
 
 「理由あって冬に出る」
理由(わけ)あって冬に出る (創元推理文庫)

理由(わけ)あって冬に出る (創元推理文庫)

 ちょいとコミカルな学園ミステリを読んでみた。もうちょっと青春小説寄りなほうが好みかなぁ。