本日の1本 クライモリ デッド・ビギニング

 
 森の奥の精神病院に隔離されていた異形の3兄弟。脱走した彼らは、医師や看護士たちを惨殺し始めた。それから約30年後、森へ遊びに来ていた大学生グループが吹雪にあい、偶然見つけた廃墟へと逃げ込んだが、、、というストーリーです。
 (以下、ネタバレありです。)
 
 タイトルどおり、「クライモリ」シリーズの「ビギニング」を描いた作品であります。残酷描写がウリのシリーズだけに、まぁやっぱそんなとこが見せ場なのであります。
 ストーリーは全くもって単純。廃墟と化した病院で、アホそうな学生グループが殺人鬼ミュータント兄弟の罠にかかり、惨殺され、そして喰われていきます。
 しかし、襲われ役がアホそうな奴ばっかりだと、なぜか殺人鬼サイドを応援しちゃいますね。
 
 さて、3人組、有刺鉄線を武器に引っ張る引っ張る。
 
 四肢を引っ張られ、バラバラに引き裂かれる医師。
 
 首を引っ張られ、ブッチン切れちゃう女子大生。
 
 などと痛そうな描写が続きますが、極めつけは、拘束されて少しずつ肉を剥がれて喰われちゃう男子学生。
 ちぎった肉は、その場で油で揚げて喰っちゃいます。
 
 バーベキュー感覚で、とても楽しそうな3兄弟。
 
 と、陳腐なストーリー展開と、過去作に比べるとややイマイチな残酷描写で、所謂B級ホラーな中ではまぁそこそこ面白いかな、というレベルの作品ではありますが、僕は別な視点からグッと興味をソソられました。
 まずはオープニングの精神病院のシーン。
 
 思い切り狂いまくってる患者たちの姿は、非常に差別的でアレなんですけど、これを見て僕が思い出したのは、石井輝男恐怖奇形人間」の冒頭の精神病院のシーンであります。
 
 そして、今度はラストのシーン。
 3兄弟に打ち勝ち、雪上バイクで走り去ろうとした2人の女子大生は、ピンと張られた1本の有刺鉄線の罠にかかり、首チョンパなことになってしまいます。
 バイクで鉄線で首チョンパといえば、ハーシェル・ゴードン・ルイス「シー・デビルズ・オン・ホイールズ」的ではありますが、チョンパされた後に2つの生首が中を舞う姿は、やはりまた「恐怖奇形人間」的じゃないですか。
 
 「おかーさーん」って声が聞こえてきそう。